作者:ぱず
今日は、弟の命日だ。
佳織さんとは、毎年二人で酒を飲んでいる。
俺から見て、佳織さんは義妹(ぎまい)に当たる人だ。
弟の妻ってわけ。
三年前に自殺してしまった弟の祐介。
ある日、睡眠薬を大量に服用してあの世へと旅立ってしまったんだ。
それ以来。命日には決まって、祐介をしのび二人で酒を飲んでいる。
佳織さんは、酒を飲むといつも号泣するんだ。
「私があのとき、祐介さんを支えていれば……。こんなことにはならなかったんです……。祐介さんには悩みがあったはずなのに、私は気付いてあげることすらできなかったんです……。」
佳織さんは、よくできた弟嫁だった。
少なくとも、俺の目には祐介をしっかり支えてくれていたように思う。
だから、泣かないでほしかった。
佳織さんの涙を見ると、ついつい告白したくなってしまう。
「祐介は自殺したんじゃありません。俺が無理やり睡眠薬を飲ませて、殺したんです。」
さすがに、そんな告白はできないよ。
捕まるのは、ごめんだからさ。