作家:ぱず 作画(くろっちとしおぶー):まぁぺ
ねえ、くろっち。
なんだい? しおぶー。
将来の夢ってあるかい?
将来の夢か。ボク、将来はライオンになりたいなー。百獣の王になってブイブイ言わせたいんだ。
くろっちの想像
ライオンか。いいよね。…………でもさ。無理じゃないかな。
やっぱり無理かな? ライオンが無理なら、トラになりたいな。男の子は、強さへの憧れってあるよね。
くろっちの想像
トラか。いいよね。…………でもさ。無理じゃないかな。
えっ? トラも無理なの?
うん。無理だと思うよ。
ボクだってさ。ライオンが無理なのは、薄々気が付いてるんだ。あのタテガミは、毎朝のセットが大変そうだからさ。
でも、トラは何となくいける気がするんだよ。自信があるんだよ。
自信があるの? それを無理って言っちゃって、ごめんね。
ううん。いいんだよ。でも、なんで、無理だと思ったの?
無理だと思った理由か。それはね。ボクたちが、ウサギだからだよ。
え? ウサギはトラになれないの?
うん。なれない。
どんなに努力をしてもダメかな?
うん。どんなに努力してもダメだと思う。
そうか。ウサギがトラになれないって、法律で決まってるんだね?
ううん。法律の問題じゃなくてさ。種的に無理があると思うんだ。
種的にか。種の話を出されると、ボクもお手上げさ。
くろっちの想像
そうでしょ。お手上げなんだよ。
じゃあさ、しおぶー。将来の夢ってさ。努力じゃなくて、才能が決めるってことなの?
そうかもしれないね、くろっち。才能が大事なのかもしれないよ。
努力よりも才能が大事だなんて……なんだかボク、悲しくなってきたよ。
悲しいよね。でもさ。こうは考えられないかな、くろっち。
え? どう考えるんだい? しおぶー。
ボクたちは、広い畑を持ってるんだよ。
うん。広い畑を持ってるんだね。
くろっちとしおぶーの想像
その広い畑のところどころに、種が埋まってるんだ。
種が埋まってるの?
くろっちの想像
うん。その種が埋まっているところを探して、水をあげるんだ。これが努力と才能なんじゃないかな。
そうか。種が才能で、水をあげることが努力なんだね?
そうそう。
種の埋まっていない土に水をあげるよりも、種の埋まっている土に水をあげた方が良いんだね?
そう。そうすれば、努力が実って、いつか芽が出てくるんじゃないかな。
くろっちとしおぶーの想像
じゃあ、ボクたちは種を埋まっている場所を探さなきゃだね、しおぶー。
そういうことだよ。くろっち。