作画:chole(黄泉子)
ここだけの話ですが、私は不倫をしていました。
当時妻が妊娠中でつわりもひどく、夜の営みができる状態ではありませんでしたので、前々から私に好意を寄せていたアルバイトの女子大生(A子)と関係を持ちました。
A子はいわゆる「メンヘラ系」というやつで、惚れっぽく、それでいて好意を持った男性に依存する性格で、簡単に体を許す女の子でした。私は既婚者ですので、とにかく体だけの付き合いが望ましく、性的なことに積極的なA子は不倫相手としては都合が良かったのです。
しかし、関係を持って2か月ほど過ぎて来ると、A子は次第に私にどっぷりのめり込むようになりました。
それまでは仕事が終わったら人目を忍んで合流し、そのままホテルに行ったりしていましたが、A子は休日のデートも望むようになってきたのです。
当然、私はずっと断ってきました。それでもA子は、
「私、あなたとずっと一緒にいたい」
「私たち、すごく相性がいいと思うの」
「奥さんと私、どっちが好き?」
「私、昔から良いお母さんになりそうって言われてるんだ」
といった感じに、遠回しに自分と一緒になってほしいという事を言ってきました。
なんて重い女に手を出してしまったんだと舌打ちをしたものです。このままだと「奥さんと離婚して私と結婚して」と言いかねないと思い、機を見て別れようと思っていました。
ですが別れ話を切り出す前に、予想外の出来事が起こりました。
A子が妊娠したと告げてきたのです。
「間違いなくあなたの子よ。責任を取って私と結婚して」
冗談じゃない!金は出すからすぐに堕ろしてこい!
私はひどい言葉をA子に浴びせました。A子は涙を流し、あなたの子を産みたい、あなたと結婚したい…と訴えてきました。
「俺は認めない。産みたいなら勝手に一人で産んでくれ」
私の酷い言葉に、A子はこう返しました。
「ひどい。絶対に許さないから。私のこと、忘れられないようにしてやるから」
私はA子と別れました。彼女はその後すぐにアルバイトをやめて、二度と私の前に現れませんでした。
妻のお腹が大きくなってきた頃に、風の噂で「A子は自殺した」と聞きました。
遺書は残されていなかったそうですが、間違いなく私との関係が原因でしょう。
それからすぐに、妻が男の子を出産しました。難産だったこともあり、多忙な日々の中でA子のことは忘れていました。
息子には生まれつき背中にあざのようなものがありました。「蒙古斑かな?蒙古斑はお尻以外にもできるからね」と医師に言われてはいましたが、そのあざは息子の月齢が上がるにつれて形が変わっていきました。
生後3か月を過ぎた頃には、そのあざはなんとなく人の顔のようになっていったのです。
妻に言われてあざを改めて見た時、私はゾッとしました。
そのあざは、どこかA子の顔に似ていたのです。そして、私はA子の言葉を思い出しました。
「私のこと、忘れられないようにしてやるから」
私を恨んで死んでいったA子は、とんでもない形で私の前に現れました。
愛しい息子を見るたびに、私はA子を思い出してしまいます。
一生解けない呪いだね……
人生って後悔することってあるよね。
今回のお話も、読まないと後悔するかもよ? なんてね、あははっ。