なぜか動物に好かれる人

↑「あとで」は、しおり代わりに使えるよ↑

  前:心霊スポットと裏拍手

 


 

作画:chole(黄泉子)

 


 

霊感少女・黄泉子
とりゃっ。 あははっ。 黄泉子(よみこ)だよ。

おいら、動物大好き。

でも、おいらの愛情が重いのか、動物からはあまり好かれないんだ。ううっ……

今日は、なぜか動物に好かれてしまうっていう、羨ましい人のお話だよ。

 

これは、28ノベルだけで読むことができる怖い話です。2ちゃんねるのコピーではありません。

 

なぜか子供や動物に好かれるっていう人、たまにいませんか?私そのタイプの人間なんです。

私自身はそこまで好きなわけではないんですが、ちょっと相手をするとやたらと懐かれて、すり寄られたり甘噛みされたりします。子供だと離れるとぐずられることもありました。

あの時も、ただ懐かれただけなのかなぁと思っていました。それは、今から10年ほど前のことです。

当時私は住宅街の中にあるアパートに一人暮らしをしていました。古い住宅街で年配の人が多く、そういった家が多いせいか犬猫をペットにしている家が目立ちました。通勤の時は色んな種類の犬や猫を見かけたものです。

ある日のこと。いつも通り駅への道を歩いていると、住宅街の中の十字路で一匹の猫に出会いました。白と黒のまだら模様…パンダのような柄の猫でした。

澄まし顔で道路の隅にちょこんと座った姿は、ふてぶてしいながらも憎めない可愛らしさがあります。

その猫は、じっと微動だにせず私を見つめてきました。私は少々違和感を覚えました。この猫は、確かに可愛らしいのですが、どこかに心を置いて来てしまった…そんな感じがしました。感情の見えない目をしているのです。

なんだか変だなぁと思っていましたが、その猫は私が歩くとチョコチョコとくっついて来ました。結局駅まで後ろをついてきたのですが、その日の帰り道にも猫に会いました。会社を出ると、いつの間にか私の横にいてついて来ます。

どうやってここまで来たんだろうと思いもしました。ふと時間が経つと、いつの間にかいなくなって、また気が付いたら後ろを歩いている…そんなことが何度もありました。

どこの猫かも知らないのに、こんなに懐かれて大丈夫なんだろうか…なんだか気味が悪いと思い始めていた頃、仕事帰りに寄ったコンビニで会計をしていると、レジ係のお兄さんがチラリと入口の方を見た事がありました。

入り口にはあのパンダのような猫が鎮座して、無表情にこちらを見つめています。

「あの猫、ずーっと私にくっついているんですよ。変に懐かれちゃって」

笑いながら私が言うと、お兄さんは「え?」とつぶやきました。

「あの猫?どの猫ですか?店内にも店先にも見当たりませんよ?」

レジのお兄さんにも、店を出ていくお客さんにも、あの猫は見えていないようでした。

見えているのは、私だけ。

猫が見つめているのも、私だけ。

ゾッと肌に冷たいものが走りました。

その後、霊感が強いと評判の占い師に見てもらいました。

どうやら私には、あのパンダ柄の猫以外にも犬や小動物、鳥の気配があるようです。

何故かはわかりません。でも私は動物に好かれていたわけじゃなく、憑かれていたんですね。

やけに動物に好かれる人は、私みたいな状態なのかもしれません。

子供に好かれる人も、もしかしたら憑かれてるのかも……

 

霊感少女・黄泉子
おいら、霊感あるはずなんだけどな。

動物には好かれない。

悲しいよー。

  前:心霊スポットと裏拍手

  次:タワーマンションの怪奇現象

作品は著作権で保護されています。

\ シェアしよう /