心霊スポットと裏拍手

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作画:chole(黄泉子)

 


 

霊感少女・黄泉子
とりゃっ。 あははっ。 黄泉子(よみこ)だよ。

今日の話は、ちょっと不気味な話かも。

おいら、先に少し読んじゃったんだけど、不気味な雰囲気を感じたよ。

じゃ、一緒に観てこっ。

 

これは、28ノベルだけで読むことができる怖い話です。2ちゃんねるのコピーではありません。

 

裏拍手ってあるじゃないですか。

逆拍手とも言いますけどね。

手の甲をパチパチと合わせるんですが、知ってます?

死者がする拍手なんて言われてる、あれです。

僕、あれが苦手なんですよ。

いやね、僕がまだ二十歳そこそこの頃にね。

友達四人で心霊スポットに肝試しに行ったんですよ。

みんなでバカ騒ぎしながら、車で行きました。

ま、心霊スポットでは何も起きませんでした。

怖いムードを楽んだだけでしたね。

でも、僕らはテンション上がってしまいまして。

そのまま一人暮らしをしてる友達の家に行ってね、酒飲みながら怖い話をして遊んだんです。

雰囲気出すために、部屋を暗くして。

一人一人怖い話を披露していくんですが、一話終わるたびにみんなで裏拍手(逆拍手)をしてたんです。

「こえー」とか言いながら、パチパチパチって手を逆さにして叩くんです。

まあ、これも雰囲気出すためにやってたんでしょうね。

若者特有の悪ノリです。

何話くらい話したかな。

十話以上は話したと思います。

素人なのに、けっこう怖い話のストックあるでしょう?

いやなに、中身はどこかで聞いたことがあるような話です。

いわゆる都市伝説みたいな話です。

それでも、肝試し後ってこともあり、大したことない話でも大盛り上がりできるんですよ。

突然……その時は来ました。

友達の一人がバタっと倒れたんですよ。

その場にいた全員が、「あ、こいつ。ふざけてんな。」って思いましたね。

「つまんねーよ。」とか「そんなんじゃビビんねえから。」などと口々に言ってました。

でもね、倒れた友達が一向に起き上がらないんですよ。

さすがに、「これはマジのやつか?」と思い、誰かが電気をつけました。

そしたら、そいつ。

白目向いて、泡吹いて倒れてるんです。

「こりゃヤバい」と思い、顔を叩いたり、水持ってきて飲ませようとしたり大騒ぎです。

「救急車読んだ方がよくないか?」なんて話も出てました。

結局、呼ばなかったんですけどね。

少ししたら、その友達は意識を取り戻して、普通にしゃべれるようになりましたから。

でも、ちょっと様子がおかしいんですよ。

何がおかしいって、記憶がないというんです。

今日、みんなで怖い話したことも覚えていなければ、肝試しに心霊スポットに行ったことも覚えてないんです。

その日の記憶だけが、すっぽりと抜け落ちてるみたいなんです。

さすがに、記憶喪失のふりをしてふざけてるとは思えませんでしたよ。

白目向いて、泡吹いてましたからね。

そんで、おかしいのはそれだけじゃないんです。

その倒れた友達、その日の記憶をすべて失っているはずなのに、「みんなで裏拍手したことだけは、なんとなく覚えてるわ」って言うんです。

「黒い穴を囲んで、みんなで裏拍手してたよな?」

って言うんです。

僕たち、黒い穴なんて囲んでないんですよ。

そこは普通のアパートの一室ですから、そんなもんありません。

それ聞いたときは、全身が冷たくなりましたね。

あ、僕らはやっちゃいけないことをしたんだな、って感じました。

何が良くないことだったのかは分かりません。

心霊スポットに行ったことがダメだったのか、その直後に怖い話をしたのがダメだったのか、裏拍手がダメなのか、それともそれらの組み合わせなのか。

それ以来、心霊スポットに行くこともなくなりましたし、裏拍手もやらないようにしてます。

まあ、怖い話だけは好きなんで、ときどきネットで検索しちゃうんですけどね。

 

霊感少女・黄泉子
この話ね、実話なんだって。

怖すぎだよっ。

おいら、絶対! 心霊スポットなんか行かないし、裏拍手もしないからね。

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