小学校の卒業文集

↑「あとで」は、しおり代わりに使えるよ↑

作画:chole(黄泉子)

 


 

霊感少女・黄泉子
はじめまして。 黄泉子(よみこ)だよ。

おいら、怖い話が大好き。

これから一緒に、たくさんの怖い話を観てこうね。

 

これは、28ノベルだけで読むことができる怖い話です。2ちゃんねるのコピーではありません。

 

卒業を控えた小学6年生のころ、卒業文集というものを作りました。

今はどうだか分かりませんが、私が小学生のころは「6年間の思い出」や「将来の夢」や「クラスの色々ランキング」なんてものを載せるのが一般的で、先生が目を通してGOサインを出すなんてことはありませんでした。

今思えば、私の子供のころの卒業文集はほぼ無法地帯と言っても過言ではないものだったと思います。

メインになるのは作文で、みんな6年間の中の思い出を書いていました。

私も学芸会で主役をやった時のことを書いた記憶があります。

しかし、私と同じクラスで変わり者のユキちゃん(仮名)だけは、少し変わった作文を書いていました。

マミちゃんは中学校の生徒会長になる。

カズキくんはサッカー部で県大会に出場する。

3組のサイトウさんは高校生になった年に、2つ上の彼氏ができる。

カナコちゃんは22歳で結婚する。3年後に子供が生まれる。

ユウタくんは会社を辞めて自分の店を持つ。

どれも小学校の思い出とは全く縁のない話ばかりで、近くて遠い未来の話ばかりでした。それも他人の未来…。

明るい未来予知ばかりなら良いのですが、そうでないものもありました。

キヨシくんは中学校の野球部で怪我をし、スポーツができなくなる。

アサミちゃんは高校生で赤ちゃんができる。

ユウちゃんは2回離婚する。

ケンジくんは詐欺に遭って借金をする。

明るい未来と不吉な未来が入り混じったユキちゃんの作文は異様でした。彼女は元々どこか浮世離れした不思議な子でしたが、この作文は不思議を通り越して一種の不気味さがありました。

文集が完成した後、担任のタナベ先生は「なぜ作る前にちゃんと作文に目を通さなかったんだ」と保護者から責められたと聞きました。

卒業から数十年経って、文集の存在も忘れかけていた頃に同窓会がありました。

そこでクラスメイトと再会し近況を話していた時、誰かがぼそりと言いました。

「なんかさ、みんなの近況。ユキちゃんの作文のまんまじゃない…?」

マミちゃんは生徒会長に、カズキくんはサッカー部で県大会に、カナコちゃんは22歳で結婚し3年後に出産、ユウタくんは脱サラしカフェをオープン、キヨシくんは部活中の怪我で車椅子に、アサミちゃんは高校生で妊娠、ユウちゃんはバツ2…

ほぼ全員が的中しています。ゾッ…と嫌な寒気がしました。家に帰って、あの卒業文集の作文を読み返し、私は声を失いました。

アヤちゃんは40歳で死ぬ。

あたしと一緒に。

私…アヤは現在38歳。もうすぐ私は死ぬのでしょう。

ユキちゃんの「予言書」の通りに……

 

霊感少女・黄泉子
う、うわ。 一発目から怖すぎる。

もしも、ユキちゃんが同じ小学校だったら、おいら絶対書かれたくない。

悪い事が書かれてたら泣くよ。

泣きやんだら、ユキちゃんのところに行く。 で、「黄泉子は可愛く成長して、幸せな結婚をする」って書き換えてもらう。 あははっ。

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作品は著作権で保護されています。

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