前:釣り上げた大物
作画:chole(黄泉子)
その日は雪が降っていた。
雪で電車は止まり、タクシーもなかなか捕まらない。
なんとかタクシーを捕まえて、自宅アパート前まで来ることができた。
アパートの周りも雪が積もっている。
とても歩きにくい。
部屋に入り、時計を見ると23時を回っていた。
夜食を食べ、しばらくボーッとしていた。
そろそろ、シャワーを浴びねばならない。
シャワーを浴び髪を乾かし終わったころ、外から音が聞こえてきた。
ジャッ、ジャッ……
どうやら、誰かが雪かきをしているようだ。
ジャッ、ジャッ……
ふと我に返る。
こんな夜中に雪かきをしているのは、おかしくないだろうか。
時計は深夜1時を過ぎている。
ジャッ、ジャッ……
音は相変わらず聞こえてくる。
いったい、こんな時間に誰が雪かきをしているというのだ。
怖かったが、気になってしまった。
俺は、ダウンコートを羽織ると外に様子を見に行った。
アパートの外には誰もいなかった。
だが、雪かきをした形跡が残っている。
つい二時間前まで、雪が積もっていた道路。
今は雪が道路のはじに寄せられていた。
誰かがここで雪かきをしていたのは間違いなさそうだった。
不思議に思いながらも、部屋へと戻った。
少しすると、また音が聞こえてきた。
ジャッ、ジャッ……
背中に冷たいものを感じた。
時計の針は1時30分を過ぎている。
明らかにおかしい。
さすがにもう、確認しにいく勇気はない。
俺は布団をかぶるとそのまま寝ることにした。
音が気になって眠れない。
ジャッ、ジャッ……
……結局、その日は眠ることができなかった。
音は明け方近くまで続いた。
朝になり、外に出てみると雪は綺麗にはじに寄せられていた。
ちょうど管理人さんに会ったので訊ねてみたが、管理人さんも誰が雪かきをしたのか分からないそうだ。
いったい、誰が雪かきをしたのだろうか。
俺は今でも、あの音が忘れられない。
ジャッ、ジャッ……
すごくリアルな怪談だな、と思ったら。
これ、実話らしいよ。
もしおいらなら、怖くてしばらく外出できなくなりそう。
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雪降ると楽しいよね。
雪だるま作ったり、雪合戦したり。
おいら、雪大好き。